ICUで教職をとるメリット
では、ICUで教職をとるメリットから紹介していきます。
①「教育」を中心に、軸のあるリベラルアーツができる。
個人的には、一番ここが大きかったと思います。先生になるための教職で必修の科目は、確かに教師にとって必要な内容が多いですが、教育学ではないことが多いです。例えば私は英語科教職だったので、言語教育や言語学、アメリカ研究などの授業もとらざるを得ませんでした。
また、教職必修の科目でも、教育心理学、教育哲学、教育社会学も勉強する必要がありました。
ただ、他の専門科目と違って、教職のよいところは、「教育」を軸に、いろんな科目を見ることができることです。先生になるという視点で、様々な履修が構成されているので、狭く深くリベラルアーツができるところだと思っています。
例えば、個人的には「子供が自発的に面白いから勉強したい」と思わせることができるような先生になりたいと思っていました。それは教育心理学では、「子供をどうモチベートしたらやる気になるのか」を定量的に研究したりだとか考えていました。教育哲学では、授業中にジョン・デューイの「学校と社会」について触れ、どうしたらマンネリ化した授業ではなく、驚きに満ちた授業ができるのかという視点で教育哲学をしました。同じように、教育工学では、「どうしたらIT機器を使って、面白い授業ができるのか」「既存のクラスルーム運営とは違った、より本質的な授業をITを使っててきないか」などを考えていましたし、教育社会学では、「学校の勉強が楽しく思えない層って、実は家庭環境が大きく影響しているのではないか」みたいな視点で生徒が見られるようになりました。
そういう点で、「教育」という視点でいろんな授業を受け、様々に枝分かれした学問も、最後には「教育」につなげることができるので、非常に教育という一つの対象をそれこそいろんな分野から見ることができましたし、一つの現象でもいろんな切り口があるんだなと思うことが多かったです。
②意識の高い友人と友達になれる
ICUの教職をとっていてあるあるなのが、「あ、こいつ見たことある」という人が年を重ねるごとに増えてくることです。なぜならみんな教職の必須科目をとっていると、次第に一つの「教職メジャー」みたいな感じになってきて、ある程度授業を受ける人達が一緒になってくるのです。特に英語科は、まるで一つのクラスが一年間あるかのように、ずっと同じ人達と授業をとり続けます。なので、祖sの人達とはかなり仲良くなります。実質自分の友人のほとんどは教職界隈の人ばかりです。
また、教職を志している人は、(個人差はありますが)かなりまじめな人が多いです。なので、授業もかなり集中して聞いているし、ディスカッションは弾むし、授業後には一緒に課題をやったり、教えあったりする仲間が増えます。
僕は教職で一番これが大きかったかなと思います。ICUはかなりコミュニティ形成が難しい(ゼミも4年からだし、授業もリベラルアーツで学科一緒の友達も増えにくいだろうし、サークルとか入ってないと、コミュニティ形成しづらいため)ので、教職というコミュニティにいることが、かなり人脈形成につながることは間違いないです。
ちなみに、他のメジャーの授業を受けていると、雰囲気の違いを感じることが多いです。
③単位埋めるのが楽
これは、だいぶ本筋とはずれますが、要は普通に教職をとっていれば、教育学メジャーの必要要件はだいたい埋められます。あとはエレクティブとジェネエドを埋めていけばいいので、余計なことを考えずに履修登録をすることができる点ではおすすめです。
ICUで教職をとるデメリット
①とりたい授業がコンフリクトする
これは結構痛いです。よく「教職って、授業大変なんでしょう?」と聞かれることが多いんですけど、大変っていろいろあるじゃないですか、単位数とか、課題量とか。そのへんに関しては全然大変じゃないです。正直結構ぬるげーだと思います。
ただ、自分自身一番大変だったのは、とりたい授業と教職の必修科目がコンフリクトすることです。
例えば僕は社会学のアプローチで、教育学やりたかったんですけど、そうするとどうしても社会学メジャーの授業を履修しなければいけないんですよね。でもそうすると結局教職とかぶってしまうことが多くて、量的研究とか質的研究の授業を早いうちから取れなかったのは悔しかったです。
特にICUで「経営も、数学も、物理学も、政治学も、なんでもいいからいろんなこと勉強してみたーい」みたいな人にとってはつらいです。
まあでもこれは正直認識の仕方の問題で、僕は大学の講義聞くことが基本的に嫌いだったので、ひたすら本をよんだり、ググったりして勉強することで、克服できたので、自発的に勉強できる人であれば、そこまで大きな要素ではないかもしれません。僕も統計学に関しては、本当に初歩的なっ文に関しては独学でした。経営学に関しては、必要なものは本で読んでました。本当にやりたいのであれば授業以外の選択肢もありますからね。
例えば、マクロ、ミクロ経済学勉強したいならKhan Academyで無料で勉強できますし、情報科学もWeb言語とか少し勉強したいのであれば、同サイトで勉強できますからね。本当に専門的に勉強するなら話は別なのですが、概論レベルでいいのであれば、授業以外の選択肢をとることをおすすめします。
②教職をとったからと言って、授業はうまくならない
英語科で模擬授業を3年のときにやったのですが、うまい人はほとんど一握りです。うまい人は、実際に人に教える家庭教師をやったりだとか、準備をはんぱなくしている人だとか、予備校で教えていたりする人で、そうでもない人もいっぱいいます。
でも、教職は個人的に、「うまい授業をするため」の場所ではないと思っています。あえて例えるならば、すし屋でネタをそろえている段階です。寿司は握れないけど、うまく握れたらきっとおいしくなるサーモンやいくら、まぐろなどをそろえている段階です。ネタがあることと、いい寿司を握れるのは別であるのと同様に、授業で使える知識と、それを使って授業をすることは全く別のことだと思います。授業を受けて、日々どうやって授業に用いようかと考えて試行錯誤する場所がないと、本当の意味で授業はよくならないと思っています。
授業をうまくできるようになりたいと思うのであれば、お勧めは塾の講師をやりながら教職を履修するのがよいと思います。教育心理学で「内発的モチベーションの引き出し方」を学んだのであれば、実際に塾にそれを取り入れてトライアンドエラーしてみると、どんな感じになるのかわかります。教育格差を勉強したのであれば、塾の子供の身振り、言葉遣いなどからリアルに感じ取れるものもあります。トライアンドエラーをしていくと、授業は自然にうまくなるので、もし授業がうまくなりたいのであれば、実際に教壇に立つのが手っ取り早いと思います。逆に、理論と実践がいかに違うのかも1-2年生のころから知っているか知らないかで、教職に対する問題意識なども変わってくると思います。
教える技術だけを学びたいなら、座学よりも実践のほうがよっぽど身に付きます。部活でも、バイトでも、そういうところで身に着けたほうがよっぽどいいです。
③興味がなくても履修する義務がある授業がある
個人的にこれが一番つらかったです。もちろん、教職で必要なのはわかっていますが、
本当に心から興味がない授業を、本当はとりたい授業のときにやられると、ますますやる気がなくなります。
私の場合は基本的にやりたくないことはやらない人間なので、内容が面白くないと授業に出なくなってしまいます。なので、英文学に関する授業は3回中すべてFailしています。
先生になる気があるときは、そのために頑張ろうという気持ちにはなりますが、僕の場合はそれがなくなり始めている時期だったので、正直かなりきつかったです。
いまでも、英文学の先生からメールがあって、
"The structure of your report was pretty good. But you should refer to the content in the class. I wish you had come to the class."(レポートの構成はすごいいいんだけど・・・・・授業で扱った内容について書いておかないとね。授業きてくれていればよかったのに)
と書かれてしまったことを覚えています。
最後に
ということで、メリットとデメリットをお伝えしましたが、教職が一概に「いいか悪いか」を一刀両断することはできません。デメリットがあるのを知りつつ、それでも教職をとりたい!と思う人であればいいと思うし、「いや、ICUに入った目的っていろんは授業を受けたいからいいわ」って思う人はとらなくていいと思っています。なにより、こういうデメリットの中でも生き残る人が、先生をやりたい人だと思います。中途半端にとり続けても結局やめることになると思うので、保険程度で考えておくのであれば、最初からとらないことをお勧めします。
ちなみに3年生から教職をとり始める人も結構います。卒業遅れてしまいますが、そうなってからでも先生であれば特に遅すぎることはないです。
ちなみに3年生から教職をとり始める人も結構います。卒業遅れてしまいますが、そうなってからでも先生であれば特に遅すぎることはないです。
もしなんかわからないことがあれば、私に相談してくれればなんか答えられるかもしれないので、ごご連絡お願いします。