ちなみに佐々木さんがNews Picksに移籍したのが2012年であり、その翌年に出版されていますが、まさに宣言通りのことをされていて面白いなぁと思いながら読んでしまいました。
メディア企業はデジタル化しないと焼野原になる
すでにUSではデジタル化の波でメディア業界が一度ぼっこぼこにされているみたいですね。そこからいろいろな著名なメディア(New York Times等)がデジタル戦略に一気に移行しているみたいです。
早くウェブ時代の新しい「稼ぎ方」を見いださないと、メディア業界が〝焼け野原〟になる。...(中略)ウェブの大波に襲われた米国では、経営危機に陥るメディア企業が続出。リストラが吹き荒れ、過去12年間に、雇用者数が3割も減ってしまいました
既存のメディアからウェブメディア戦略で移行するのに一番大事なのは、「マネタイズ」
そのためにいちばん大事なのは「稼ぎ」です。多くの人がメシを食えるエコシステムです
いいコンテンツが、それに見合った対価を得られるようなビジネスモデルを創る──そうした起業家的な人材がいなければ、にっちもさっちもいかないのです
メディアのウェブ化で進む大変化① 紙が主役 → デジタルが主役
うん、確かにそうですね。デジタルが端役から主役に躍り出るのです。「紙を中心にすえ、デジタルにオマケとして取り組む」という今の姿から、「デジタルを起点にして、紙、広告、イベントなどの戦略を考える」という姿へと急速にシフト...
メディアのウェブ化で進む大変化② 文系人材の独壇場 → 理系人材も参入
この辺もすごく納得です。メディア側は高単価を謳歌することができました。ところが、ネット空間では広告枠(=サイトの数)は無限大。しかも、ベスト&ブライテストが集う巨大テクノロジー企業と競り合わないといけないのですコンテンツの部分ではなく、ユーザーにどう届けるのかということを考えたときに、理系人材はめっちゃくちゃ必要ですね。
メディア新世界において、競争力の決め手となるのは、コンテンツの質だけではありません。それと同じぐらい重要なのが、テクノロジーとクリエイティブ、そして、PDCA(計画→実行→評価→改善)を繰り返すスピードです
また、「未来の新聞」とも評され、高い人気を誇るニュースキュレーションサービス「グノシー(Gunosy)」は、東京大学大学院のエンジニアらが開発したものです。メディア新世界ではコンテンツをつくる記者・編集者だけでなく、すごいサービスをつくるテクノロジストたちもスターになるのです
大変化③ コンテンツが王様 → コンテンツとデータが王
ここが面白いですね。特に4年後(2017年現在)News Picksが歩んでいるものを見ると、予言した通りのビジネスをやっているなと感じました。おそらくNPでとってるデータは相当面白いものが多いんだろうなぁ。Facebookのユーザーの属性データから、職業、読んでいる連載のデータとか。有料会員にするためには十分すぎるデータが取れているような気がします。
コンテンツこそがみなにとっての王様だったのです。 しかし新世界では、コンテンツを売った「後」が肝心になります。どの記事が読まれたか、どんな属性の読者が読んだのか、どの時間帯に読んだのか、どのページでサイトから離脱したのか──これらのデータを収集・統合・分析し、コンテンツ作成・広告営業・会員戦略などに活かす視点が欠かせません。今、「ビッグデータ」という言葉が流行っていますが、メディア企業こそ、ビッグデータを存分に活かすべきなのです
もはやコンテンツは素人さんからでも十分面白いものが出てくるわけで、そうなるとやっぱり編集が大事になってくるんですかね。コンテンツ X デリバリーでいえば、デリバリーをどれだけ追及できるかが大事になってくるんですかね。
デジタル化以前は、複数の曲がパッケージされたアルバムが主流でしたが、アップルのiTunesの誕生により1曲ずつ音楽を購入するスタイルが定着しました。同様に記事の世界でも、「日経新聞を読む」「東洋経済を読む」というスタイルから、日経新聞のA記者の記事と、東洋経済のB記者の記事と、ブロガーのCさんの記事を読むといった形や、「世界経済」というテーマ別に各媒体の記事を横断的に読むといったスタイルが日常化していきます
新世界でメディア企業に求められるのは、データ分析のプロ(=データサイエンティスト)と、マーケティングのプロです。事実、デジタル戦略の最先端をいく、英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、30人からなるデータ分析のチームをつくり、その知見を記事作成、広告営業、会員戦略などにフル活用しています
大変化④ 個人より会社 → 会社より個人
そうですよね。だってどれだけPV稼げたか。どれだけ広告からのコンバージョンが入ったか。全部定量的に評価が決まるわけですから、そう考えるとデジタルメディアの中の人は大変です。責任の所在がはっきりとしすぎてて......
紙の世界を支配するのは、「組織や会社の論理」です。ジャーナリストの大半は、会社に雇われたサラリーマンであり、個人の色を出すことはあまり許されません。
それに対し、デジタルでは「個人のキャラ」がモノをいいます。主観を抑え事実をたんたんと書いた記事よりも、個人の色がにじみ出た記事のほうがよく読まれるのです
あとはウェブメディアをマネタイズできる人材がものすごく価値が上がってくるんでしょう。記事のクオリティしかり、デリバリーの部分が特にデータをもとにマーケティングできる人の価値が上がりそうです。
ただし、すべてのメディア人がデフレに襲われるわけではありません。競争力の高いコンテンツを創れる記者・編集者、新しいマネタイズ法を創れる広告・イベント・営業担当者、優れた技術とセンスを有するエンジニア、芸術性と読みやすさを備えたレイアウトを創るデザイナー、膨大な読者データを収集・統合・分析できるデータサイエンティスト、そして、新時代のメディアの仕組みを創る経営人材などは、引く手あまたとなるでしょう
あと本に少し書いてあったのですが、バズる記事のタイトルにはある程度法則性があるってところも面白かったです。iPad、アップルじゃバズらないけど、iPhoneはバズるとか。人が見たくなるキーワードを、定量的に見れたらめっちゃくちゃ面白そうですね。
東洋経済新報社 (2013-07-22)
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