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公開日 : 2017-09-02

人事データを活用すると、何ができるのか  -『日本の人事を科学する』をまとめました -

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『日本の人事を科学する』を読んでみました



僕はもともと教育学部だったのですが、教育の効果検証って面白いと思っています。その延長線上で、人事領域(採用等)におけるデータ活用や、HR Techに興味を持っていたのですが、つい最近この『日本の人事を科学する』という本を読み終えましたので、書評を書いていきたいと思います。


日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用
大湾 秀雄
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 54


大手ERP企業からの協力をもとに、さまざまな企業の人事データを東大と共同研究を行った結果をまとめています。


Amazonの紹介によると、

◆働き方改革の実行や、女性管理職の育成、労働生産性アップ、ストレスチェックなど、人事部門は、様々な課題について現状を正確に把握し、数値目標を立てて改善に取り組まねばならなくなった。本書は、多くの日本企業が抱えるこれらの人事上の課題を、データを使ってどのようなに分析し、活用すればよいのかを解説。
◆著者が、株式会社ワークスアプリケーションズや経済産業研究所(RIETI)と連携して行ってきた研究成果を活かし、具体的に、読者が自分の会社で使えるように解説する。

この本の構成としては、以下のようになっていましたが、特に面白かった部分(第1章 なぜ人事データの活用が必要かと、第5章 採用施策は、うまくいっているのか)について書評を書いていきたいです。


第1章 なぜ人事データの活用が必要か
第2章 統計的センスを身につける
第3章 女性活躍推進施策の効果をどう測ったら良いか。
第4章 働き方改革がなぜ必要か、どのように効果を測ったら良いか
第5章 採用施策は、うまくいっているのか
第6章 優秀な社員の定着率をあげるためには何が必要か
第7章 中間管理職の貢献をどう計測したら良いか
第8章 高齢化に対応した長期的施策を今から考えよう
第9章 人事におけるデータ活用はどう発展するか





第1章 なぜ人事データの活用が必要か


なぜ人事データの活用が必要なのでしょうか。それは人事施策と効果測定の上で必要だからです。日本の企業のほとんどが、経験と勘によって意思決定が行われ、その後の効果検証もなかなか行われにくいようです。

企業での意思決定には、さまざまな情報が用いられます。たとえば、誰を採用するかという意思決定には、書類から得られる出身学校や課外活動の情報のほか、適性検査で得られる能力、行動特性、性格に関する情報、さらに面接を通じて得られるコミュニケーション能力や志望動機、価値観などの情報が使われます。入社後は、人事考課、ヒューマンアセスメント、従業員満足度調査などが人事異動や昇格審査、人事制度設計に利用されています。ところが、不思議なことに、この際使用した情報がどの程度有用であったか、バイアスやノイズがどの程度あったか、最終的な判断が正しかったか、大多数の企業で検証されていません。多くは経験と勘によって意思決定が行われ、それが正しかったかは、各自が都合の良いように解釈しているのではないでしょうか

それでは、なぜ人事データの活用が遅れているのでしょうか。それは、人事部に配属される人間が、統計的な素養を持ち合わせていないケースが多いからだそうです。

なぜ人事ではデータ活用が遅れているのでしょうか。まず言えることは、人事部に配属される人は、文系が多く、そもそも統計リテラシーが低いという現状があります。伝統的に人事の課題を扱う研究は「人的資源管理論」が主流でした。しかし、この分野の研究者も、定性的な分析に終始してきたため、人事管理の教科書を開いてもデータ活用の方法は一切出てきません

確かに、学卒で人事に配属される人の中で、統計学の知識を持っている人は少なそうですね。加えて文系ルートが多いでしょうし。
あと、教育や人事って人にかかわるところなので、定量化に反対する人が一定数いるのも原因の一つにあるんじゃないかな~なんて思っています。


でも、ある施策がうまくいったか行っていないかを効果検証せずにいることって、普通のほかの業務、例えばマーケとかだったらありえないわけですし、そう考えると教育や人事領域の効果検証ってなんでしないんだろうと思います。


第5章 採用施策は、うまくいっているのか



採用時の情報はその後のパフォーマンスを予測できるのでしょうか。つい昨年就活をしていた身からすると、この面接はどういう仮説をもとに質問をして、どういう条件でスクリーニングしているんだろうと考えることが多かったです。でも企業規模が小さくなるほど、言ってはなんですが、あきらかに効果検証できないような質問をしてきたりするところもありました。


この本の結論から言うと、採用時の情報でその後のパフォーマンスは予測できるみたいですね。


特にどの会社でも、わりと適性検査ではパフォーマンスは予測できるようですが、GD、面接などはあまり関係がなかったようです。また、学歴もあまり関係ないようですね。

R社では、適性検査と筆記試験、グループディスカッション、一次面接の四つのデータが残されていましたが、驚くべきことに、この中で入社後のパフォーマンスとの相関が認められたものは、適性検査で測った創造的思考力とオーガナイズ能力の二つだけという結果でした。他の選考結果については、入社後のパフォーマンスとほとんど相関が見られなかったのです。

大学の偏差値や適性検査結果、出身学部、役員面接の評価を使って分析したS社では、いずれの指標も、入社後のパフォーマンスとの相関関係は見られませんでした。出身大学と評価の間に相関がないことについては、ある程度予測できる結果です。

適性検査で言語能力と非言語能力がともに低く、高揚性が高いと、早期離職率が高いという結果もありました。これは確かに言われてみれば!という感じですが、数字で出してみるとすごく面白そうです。


一方、早期離職率と適性検査評点との間には相関関係が見られました。活動意欲が高く、高揚性が高くて、言語能力や非言語能力のともに低い人は、1年以内に辞める確率が高い、つまり早期離職しやすいという注目すべき結果が出ています。

T社では、現在40歳前後の社員について、入社時の適性検査結果と管理職昇格審査の際に受けるヒューマンアセスメントの結果を用いた分析をしました。具体的には、管理職昇進時期が早期、中間、最終の三つのグループに分けた上で、3グループ間で入社時の適性検査結果やヒューマンアセスメント結果にどのような差があるのか検証したのです。その結果、適性検査の非言語能力(問題解決能力、分析能力)と昇格スピードの間には、強い正の相関が見られました。ヒューマンアセスメントによって計測された、調整力、創造力、判断力、実行計画力の四つの指標については、昇進スピードとの相関が有意に正という結果でした。この結果を受け、T社では、今後採用プロセスの中で適性検査結果をより有効に活用していきたいという結論を導きました。

逆に面接はいまいちみたいですね。やるなら、先に質問を決めておく構造化面接のほうがよいらしいです。

面接結果が入社後のパフォーマンスを予測する上であまり役に立たないというのは、多くの先行研究でも指摘されていますし、多くの企業にとって採用方法を改善できる余地は大きいでしょう。

非構造化面接よりも構造化面接の方がより有用な情報を引き出せるという研究結果があります。つまり質問内容の多くを面接者の裁量に任せるよりも、ある程度事前に取り決めた質問を全員に投げかける方が面接者の恣意性を排除し、採用担当者全員で比較吟味できるという点でより良い意思決定につながる可能性が高いのです。さらに構造化面接であれば、将来採用時の情報がどれほど有用であったかを検証する際に、どのような質問への回答が好業績者の選別に有効であったかという点なども検証できるはずです。

最後に


こういうデータを見ると、SPIの性格検査って結構大事なんだなぁと思います。
あとパフォーマンスが高い企業の採用試験って筆記が多いなと思います。その点、結構科学的に採用やっているのかなぁなんて思ったり。


日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用
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