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公開日 : 2017-11-06

「これからの世界をつくる仲間たちへ(落合陽一)」の書評を書きました。

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落合陽一さんの「これからの世界をつくる仲間たちへ」を読んでみましたので、その書評を書いていきます。


これからの世界をつくる仲間たちへ
小学館 (2016-03-28)
売り上げランキング: 113

落合陽一 Yoichi Ochiai 1987年生まれ。筑波大助教。メディアアーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。

ツイッター:@ochyai
参考動画


「魔法をかけられる人」になる



現代は、世界のあらゆる機能がブラックボックス化していて、なぜそれが動くのか、普通の人は説明できないのです。それに対して、「魔法使い」はブラックボックスの中身が分かるので、いろいろと中身を改良して使いこなすことができます。魔法使いっていう表現がすごく面白いと思いました。

最近、メディアでは「現代の魔法使い」なんて呼ばれるようにもなりましたが、東京大学で博士論文を考えている頃、「魔法」=ハードウェアが見えないようにして描かれるようなユーザー体験を物理世界(現実世界)に作りたいなぁと考えていたときに、「魔法を実現する」とか「魔法使い」とかいうフレーズをよく使っていたことに起因しています

現代は、「再魔術化」の時代



昔は、病気の原因がわからないので、祈祷師を呼んで解決していた、魔術化された時代でした。そして近代では科学によって全てが解決されるようになりました。


しかし、つい最近は最魔術化されていると言います。ディープラーニングなどの技術の進歩により、なぜこのインプットでこのアウトプットが出てくるのか、説明がつかないようになってきます。そういう意味で、またかつてのように、多くの人にとって、なぜ動いているのかがわからない、再魔術化の時代になっていると落合さんは述べます。


そのようなバックエンドの処理を機械がほとんど代替します。「魔法」をかけられない人間は、結局情報のインプットとアウトプットの部分を受け渡す「コンピューターの下請け」だけの存在となるのです。


これからの世界をつくる仲間たちへ
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1981年にモリス・バーマンというアメリカの社会批評家が「世界の再魔術化」を指摘したときよりもさらに大きいオーダーで、いま魔術化は進行しています。ここで言う「魔術」とは、「どうしてそうなるのかわからないこと」、つまり民間信仰で信じられてきたような「まじない」のことです


そして、魔術を一つも知らない(ブラックボックスの中身がわからない)人は、コンピューターの下請け、もしくはインターフェイスになると予言しています。フロントエンドの処理を人間が行い、バックエンドは機会が行うので、人間はコンピューターの入出力を行なう「下請け」になるのです。


これは非常に面白い指摘です。このロジックで行くと、医者の価値は暴落するのではないかと思います。もうすでに膨大な医学論文から最適解を見つけるアルゴリズムが実装されています。その出力結果を伝えるのが人間の役割になるのであれば、それこそ今で言う高度専門職こそ、コンピューターのインターフェイスにならざるを得ないのです。


再魔術化した21世紀に、あらゆる「魔術」の裏側を知る必要はありません。自分の専門ではない分野では、ひとりの消費者として「なぜそうなるのか」を理解しないままその利便性を享受していればいいでしょう しかし、ひとつも魔術を知らないようでは「コンピュータの下請け」的な人生しか待っていません。それはそれで幸福な生き方ですが、ただ、この本はそこを目指すものではないので、ロールモデルのないオリジナルな価値を持つ人間になろうとするなら、何かの「魔術師」になるのがいちばんです

「人間がやるべきこと」は 何か  


ほとんどのことが機械でできるようになる時代、人間に必要な力はモチベーションだと落合氏は言います。何かをしたいという感情を持っているかもっていないか、これが人間とコンピューターの大きな違いなのです。


少なくとも、処理能力のスピードや正確さで勝負する分野では、人間はコンピュータに太刀打ちできない。ざっくり言うと、いまの世界で「ホワイトカラー」が担っているような仕事は、ほとんどコンピュータに持って行かれるのです。


コンピュータに負けないために持つべきなのは、根性やガッツではありません。コンピュータになくて人間にあるのは、「モチベーション」です。何かに対する強いモチベーションのない人間は、コンピュータに「使われる」側にしかなれません。


モチベーションを持ってコンピュータをツールとして使う「魔法をかける人」になれるか、あるいは「魔法をかけられる人」のままになるのか。そこに大きな違いが生まれます


いまのところ、人間社会をどうしたいか、何を実現したいかといったようなモチベーションは、常に人間の側にある。だから、それさえしっかり持ち実装する手法があれば、いまはコンピュータを「使う」側にいられるのです


ガッツに拘るのは、レッドオーシャン



あらゆる処理能力において、人間はコンピューターに負けます。なので、ただひたすら処理能力と処理スピードを上げるアプローチでは機械には勝てません。


「ガッツはレッドオーシャンだから、そこで勝負しても無駄だよ」ガッツがあるのは当然の前提だから、それをアピールしても人材としての市場価値はないのです。



ホワイトカラーは消える クリエイティブクラスだけ生き残る


ホワイトカラーの単調な人力ゲーは機械に代わり、唯一無二の能力のみが生き残るとのこと。


たしかに、コンサルティングにしろ金融にしろ外資系企業はブランドイメージが良く、給料も高いでしょう。でも、だからといって社会的なステータスも高いとはかぎらない。10年前ならそうだったかもしれませんし、日本ではいまでも相変わらずチヤホヤされるかもしれませんが、すでに米国では、サンフランシスコあたりで活動している若い起業家たちのほうが「自立的でかっこいい」と思っている人が多いコミュニティもあるのです


それは、起業する人たちが「コンピュータで代用できない専門性」や「無二のカリスマ性」を身につけているからです。誰かのビジネスモデルの上で働く企業のホワイトカラーには、それがありません。  ホワイトカラーは何かを効率よく処理するための「歯車」です。そして、処理能力の高い「歯車」はいずれコンピュータに居場所を奪われてしまいます。



しかし、コンピュータが発達したいま、ホワイトカラー的な処理能力は「誰も持っていないリソース」にはなり得ません




このクリエイティブ・クラスがホワイトカラーの上位に位置している。彼らには「知的な独占的リソース」があるので、株式や石油などの物理的な資本を持っていなくても、資本主義社会で大きな成功を収めることができるのです。



クリエイティブ・クラスに 「ロールモデル」は存在しない


唯一無二だから今の時点で「こんな職業になりたい」と模倣することはできないのです。



クリエイティブ・クラス」ではないのです。  ところが多くの大人たちは、しばしば子供たちに成功者の存在を教えて、「この人みたいになりなさい」とロールモデルを提示します




しかし大事なのは、成功したクリエイティブ・クラスをそのまま目標にすることではなく、その人が「なぜ、いまの時代に価値を持っているのか」を考えることです




「勉強」と「研究」の違いを 理解できる




新しい問題を発見して解決するのは、「勉強」ではなく「研究」です。勉強と研究の違いを知ることは、21世紀をクリエイティブ・クラスとして生きていく上できわめて重要なキーワードだと思います




「5つの問い」を 自らに投げかけろ



何か新しいことをするときには、これら5つを心がけるとよいそうです。



・それによって誰が幸せになるのか。  
・なぜいま、その問題なのか。なぜ先人たちはそれができなかったのか
・過去の何を受け継いでそのアイディアに到達したのか。
・どこに行けばそれができるのか。
・実現のためのスキルはほかの人が到達しにくいものか


この5つにまともに答えられれば、そのテーマには価値があります。これを説明できるということは文脈で語れる=有用性を言語化できるということです


解決したい 「小さな問題」を探そう


まずは問題を発見することが大事になる。問題を見つけられない人は、当然ですが問題のオリジナルな解決法も考えられません。  大人から「好きなことを見つけろ」「やりたいことを探せ」と言われると、「僕は何が好きなんだろう」と自分の内面に目を向ける人が多いでしょう


解決したい問題を発見し、「5つの問い」に答える形でそこに文脈をつけることができれば、その時点で問題の70%ぐらいは解けていると思っていいでしょう。

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