2016-11-04

【ICU生100人に聞いてみた】親の学歴と職業について

ICU生の親の学歴と職業について

今回は、ICU生の親の学歴と職業について調べてみたいと思います。



気になったこと

いままでの調査では、「ICU生って裕福なんじゃない?」という問いから、ICU生自身の小中高学歴について調査しました。結果としては私立中高一貫校が40%ということで、かなりの教育投資を受けて現在の学歴を獲得しているという結論に至りました。

教育社会学的アプローチからみる、ICU生の階層論



また、ほかにもICU生の通塾に関する調査からも、同様な結果が得られております。ICU生で一般受験を目指して勉強している人の4割が通塾をしておりました

ICU生に聞いてみた 塾に行ってた?

ここ最近の興味としては「そうは言っても、学歴がそこまで高くない家庭で、所得が低い家庭からも、努力してICUに来ている人ってどんくらいいるんだろう?」ということに興味を持ちました。親の階層から、上昇、下落することを、社会移動(Social Mobility)と言います。




もしかしたら、学歴が低い家庭からでも、非常に優秀で子供が高い学歴を獲得したことも考えられます。自分のまわりにはそのような、親学歴を超えたり、親よりも所得の高い職業に就くことで、「社会移動」を達成している友人がいるので、実際それがICU全体でどうなっているのかを見てみたいなと思います。

調査したいこと


今回興味を持ったのは、親の学歴と、親の職業です。前回までは、子供の小中高学歴をもとに、間接的に家庭の階層を推測しましたが、今回はもっと踏み込んで、親の情報について焦点をあてて調査したいと思います。


まず、社会移動を学歴という観点見たときに、親学歴と子供の学歴の間に移動があるかどうか
を調べてみたいです。例えば、高卒家庭から、ICU生が生まれているのであれば、それは社会移動が上昇したということになります。

次に、社会移動を職業という観点で見たときに、親の職業形態・就職先を見てみたいと思います。

ただし、今回ICU生の社会移動を見るということは非常に困難です。就職していない人もいれば、している人もいます。院生の人もいます。ということで、今回の調査は親について行いますが、社会移動の指標として子供の就職先がわからないので、本当はそこまで比較したいですが、そこの部分の比較はできません。

調査方法

ブログ記事なので(あと自分の統計リテラシー、時間的制約などの限界から)ICU生に対して、Twitter,Facebookを通して質問します。

主に調べるのは、まず、①両親の情報です。

・両親の最終学歴
・家の収入を支えている人の雇用形態(経営者、サラリーマン)
・家の収入を支えている人の規模(大企業、中小企業、ベンチャー)
・家の収入を支えている人の就職先(自由記述)(NHK、電通、ファーストリテイリング等)

調査項目に関しては、SSM調査(The National Survey of Social Stratification and Social Mobility)という、社会移動についての研究がありますので、それを参考にして、調査項目を作成しました。(参考程度なので、かなり変えてます。)

質問項目は、こちらです。(こちらに実際のフォームがあります。)


(A)親学歴について

(1)父親の学歴を教えてください。(院卒、大卒、短大卒、高卒、中卒、その他)
大学卒、院卒、短大卒の場合)さしつかえがなければ、最終学歴について教えてください。(例 早稲田大学/東京大学院修士課程)

(2)母親の学歴を教えてください。(院卒、大卒、短大卒、高卒、中卒、その他)
大学卒、院卒の場合)さしつかえがなければ、最終学歴について教えてください。(例 早稲田大学/東京大学院修士課程)

(A)親の職業について


(3) 家庭の中で主に一番多くの収入を得ている人について質問します。現在のお仕事についてうかがいます。お仕事は大きく分けてこの中のどれにあたりますか。

  1. 経営者、役員
  2. 常時雇用されている一般雇用者
  3. 臨時雇用、パート、アルバイト
  4. 派遣社員
  5. 自営業主、自由業者
  6. 家族従業者
  7. その他( )

(4)  家庭の中で主に一番多くの収入を得ている人について質問します。現在のお仕事についてうかがいます。従業員(働いている人)は、会社全体で何人ぐらいですか。〔家族従業者、パート・アルバイトも含む〕

  1. 1人
  2. 2~4人
  3. 5~9人
  4. 10~29人
  5. 30~99人
  6. 100~299人
  7. 300~499人
  8. 500~999人
  9. 1000人以上
  10. 官公庁
  11. わからない

(5) 家庭の中で主に一番多くの収入を得ている人について質問します。さしつかえなければ企業名、役職をお答えください。(個人が特定されてしまう場合は、ご回答をご遠慮ください。)

仮説

  • 高卒の人、中卒の人も3割くらいいるんじゃないかなと思います。
  • 大企業従業員よりも、中小企業経営者(役員)、高度専門職(大学教員)が多いのかなと推測しています。

結果


1, 父親学歴について


  • 81%が大卒以上でした。
  • 一方で、17%が中卒、高卒でした。
  • 大卒の場合、出身大学は、慶応義塾大学、上智大学、早稲田大学等ICUと同程度のレベルの有名私立大学が多かったです。


親学歴 度数 割合
院卒(博士) 5 5%
院卒(修士) 10 10%
大卒 64 64%
短大卒 2 2%
高卒 14 14%
中卒 3 3%
無回答 2 2%
総計 100 100%





父親最終学歴名





2. 母親学歴


  • 大卒以上が4割でした。
  • 男性と比較すると、短大卒が多く、34%でした。
  • 男性と比較すると、女性の大卒率はおよそ半分程度でした。
  • 時代的なジェンダーギャップがあると考えられます。
  • 慶応義塾大学卒が比較的多いです(サンプルが偏ってる可能性もあります)


学歴 度数
院卒(博士課程) 2
院卒(修士課程) 3
大卒 38
短大卒 34
高卒 20
その他 3
総計 100





母親最終学歴名

博士課程に関しては、回答を得られなかったです。(最終学歴の質問が任意のため)

修士課程


大卒



家計を支えている人の雇用形態


  • 40%が、経営者、役員、ないしは自営業主、自由業者でした。
  • 一方、一般雇用者(いわゆるサラリーマン)は56%でした。
  • 派遣社員や臨時雇用などの割合は4%でした。


雇用形態 度数
経営者、役員 17
自営業主、自由業者 19
常時雇用されている一般雇用者 51
派遣社員 2
臨時雇用、パート、アルバイト 2
総計 91




従業員規模


  • 親の会社の規模がわからないということで、回答数が少なくなくなってしまったため、偏りがあると考えられます。
  • 1000人以上のいわゆる大企業で働いている人は42%でした。
  • 1000人未満の中小企業、ベンチャー企業、自営業などで働いている人は58%でした。





雇用先


  • 医者が6人、教師が3人、銀行が2人いました。(外科医等)
  • その他、公務員も多くいました。


1.複数回答

医者(6)、教師(3)、銀行(2)

2. 公務員

茨城県警察官、国家公務員、外務省、山梨県庁 教育委員会、消防士、陸上自衛隊

3. 一般企業

ビル警備、野村證券、研究員、中日新聞、清掃会社社長、ソニー生命保険、大手監査法人 シニアパートナー、富士通、OAS 、管理栄養士、日本精工、出版社経営、NIKON、駒田屋本舗、キヤノン、ソニーミュージックエンターテインメント、(株)和幸楽器 、高須産業株式会社

4. その他

翻訳家、NPO法人理事、作新大学、コニカミノルタ、看護師、教授


考察

本当は、高卒、中卒の人も結構いるんじゃない?という議論がしたかったんですけど、やはり父親学歴も有名私立大卒が多かったですね。早稲田等同程度のレベルの大学が多いのは、社会移動が維持もしくは下落するのが一般的というセオリー通りです。
一方で一定数子供の学歴が上昇しているケースも見られました。特に高卒家庭、母子家庭から、社会移動を達成しているケースも見られました。

職業に関しては、想像以上に経営者だったり自由業者が多いですね。キャンパスで10人にあたれば4人は経営者、自由業者ということなので、おそろしいとこですね。お医者さんも多い!エリートですね。
この後余力があったら学歴と比較してみたいと思います。高卒でも経営者として活躍されている方がたくさんいて、実力で社会移動を果たしている人も見受けられました。

ただ、今回の研究もやっぱり答えづらい質問だったり、知らない質問だったりすることが多く、サンプルに偏りが大きくなってしまいました。よほど気を付けてつくらないとだめですね。

協力してくださった皆様、ありがとうございました。もし面白ければRTやらFacebookのいいねやらをしていただけますとうれしいです!



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