2016-12-15

教育社会学のおすすめの書籍5選

そもそも教育社会学とは何か?


教育社会学は、教育をべき論や実践ではなく、教育が実際に実際どうなっているかを客観的に分析する学問です。



―― 教育学と教育社会学ってなにが違うんでしょうか?

話がややこしくなってしまうかもしれませんが、教育学にも狭義と広義があるんですね。これはわたしなりの見方ですが、まずもっとも狭義の教育学は、教育思想や教育哲学のような、「教育とはどうあるべきか」を思弁的に追及する「規範学としての教育学」。そしてその外側に、やや広義の教育学として、学校現場に入りながら教育の実践をよくするための手法などを提言したり教員を養成したりする、「方法学としての教育学」があります。
このふたつはやり方は違うものの、「どうすべきか」「どうすればいいか」といった価値や規範とは切り離せない点で、共通点がありますよね。これらが教育学のコア部分で、その外側に、さらに広義の教育学として、なんらかの意味で教育に関わる現象を客観的に把握し明らかにする「事実学としての教育学」があります。ここには教育社会学など多様な分野が含まれます。
教育社会学(きょういくしゃかいがく、英語: sociology of education)は、教育学の一分野であり、教育事象を社会学的な手法を用いて明らかにする教育学と社会学の中間に位置する学問分野であり、社会制度や個人の経験が教育制度やその成果に与える影響を研究する。

どんなことをテーマにしているか




テーマはいろいろありますが、教育格差、いじめ、家族関係、学校文化、青年文化など、教育と社会にかかわるほとんどの分野に関係しています。
(中略)・・・・また従来は,教育といういとなみを主として学校教育に限定し,人間発達に対する学校教育の影響・効果を主たる研究テーマとしてきたが,近年は,人間の発達成長は決して学校教育のみに規定されているわけではないという事実認識に立って,その研究領域を,家族集団の人間形成機能,子ども集団の人間形成機能,さらにはマス・コミュニケーション,子ども文化,青年文化のそれなどへと拡大してきている。

引用) コトバンク

(中略)教育社会学では、そうした研究視点から、社会事象としての広義の教育における個々の教育的事実を明かにすることに興味を持ちます。例えば、家庭教育におけるしつけ、学校の授業における教師と子どもの関係、社会教育施設としての図書館や博物館など、個々の教育事象を取りあげます。また、学歴社会、情報化社会、少子化社会などの社会構造と教育との関係を扱います。さらに、過度の受験競争、いじめ、不登校・引きこもり、少年犯罪などの教育問題(教育病理)も研究対象となります。
引用)教社とは


教育格差とは

特にホットな分野は教育格差です。
教育格差(きょういくかくさ)とは、生まれ育った環境により受けることのできる教育に格差が生まれることを指す。

(中略)勝間和代は「東大生の親の収入は平均約1000万円であり、東大合格者は東京にある6年一貫私立校の生徒が多くを占めている。教育格差は再生産されている」と指摘している(2010年時点)
(中略)嶺井正也らは、著書で「県民所得の高い都道府県ほど大学入試センター試験の成績も高く、逆に、県民所得の低い都道府県ほど低い」という傾向があることを述べている
引用)教育格差 Wikipedia

理論的には、メリトクラシーという言葉を使って説明されます。

社会学者マイケル・ヤングの定義にならえば、メリトクラシーの「メリット」とは「IQ+Effort」のこと。生まれ・身分・階級・富といった所与の条件ではなく、能力に努力を加えたメリットを獲得した者たちが成功し、指導的な階層をかたちづくる社会をメリトクラシーと呼びます。近代以降の社会は、程度の差こそあれ、メリトクラシーを理念として人材の選抜を行ってきました。
(中略)競争の前提として、スタートラインが同じである必要があります。あらかじめ「生まれ」の束縛による差違があり、努力の及ばない要因で、望ましい教育の機会そのものを得られない結果として「格差」が生じてしまったのでは、公正な競争にはなりません。ここに学力格差の問題を考えることの本質があります。
(中略)ブラウンによれば、人材の選抜は「能力+努力=業績」というメリトクラシー方程式ではなく、「富+願望=選択」というペアレントクラシー方程式に沿って行われます。つまり、選抜は本人の業績に基づくのではなく、富を背景とした親の願望がかたちづくる選択次第となる、というわけです。
 先の調査で明らかなように、親の富(学校外教育費支出、世帯所得)と願望(学歴期待)が子どもの学力を規定している日本社会もペアレントクラシーへの道を歩みつつあります。 

引用)学力格差とペアレントクラシーの問題

そのような格差は、日本をはじめ世界中でも観測されています。

東大生の家庭では年収950万超が54.8%を占めています。一般群では22.0%でしかないことを考慮すると、東大生は富裕層に著しく偏しているといえます。逆をみると、年収350万未満の低収入層は一般群では24.5%ですが、東大生では8.7%しかいません。

引用)東大生の親はわが子にだけ富を密輸する プレジデントオンライン


教育社会学を学びたいなら




武蔵野大学教授講師舞田敏彦さんのブログ「データえっせい」がおすすめです。
様々なデータを分析して、教育を客観的に分析されております。

私のブログでも、教育格差については扱っているので、ぜひご参考にしてください。

【教育格差】データで見たら、人生は想像以上にただの課金ゲーだった話

を読んでみてください。どんな分野の研究がされているかがわかります。

もっと理論的に見たい場合は、現代教育社会学 (有斐閣ブックス) を読んでみてください。

個人的に教育社会学にかかわる書籍で面白かったのは、まず(教室内)スクールカーストです。

◆「なぜ、あのグループは“上"で、このグループは“下"なのか……」

生徒たちの生の声、先生の本音……気鋭の教育社会学者が、教室を支配する「地位の差」に肉迫! 「なぜ、あのグループは教室を牛耳っていて、このグループには“はしゃぐ権利"すら与えられていないのか……」。「スクールカースト」とは、主に中学・高校のクラス内で発生する
ヒエラルキーのことで、小学校からその萌芽は見られる。同学年の子どもたちが、集団の中で、お互いがお互いを値踏みし、ランク付けしていることは、以前から指摘されており、いじめや不登校の原因となるとも言われてきた。ステイタスの決定要因としては、人気やモテ度、運動神経などがあり、上位から、「1軍・2軍・3軍」「イケメン・フツメン・キモメン」などと呼ばれるグループに分断され、グループ間交流はほぼ行なわれなくなる。スクールカーストは、いじめの温床となるだけでなく、どんな生徒にとっても、クラス内での居心地の悪さや、学校で自己を発揮するのを阻害する要因となる。本書では、これまでのいじめ研究を参照しながら、新たに学生や教師へのインタビュー調査を実施。教室の実態や生徒・教師の本音を生々しく聞き出している。生徒には「権力」の構造として映るランク付けが、教師にとっては別の様相に見えていることも明らかに……。また、中学生への大規模アンケート調査結果もふまえながら、今後の日本の学校教育のあり方に示唆を与える。解説・本田由紀。
さらに前回ご紹介した、学力と階層です。

学力低下問題の第一人者として知られ、オックスフォード大学の教授を務める著者が「学力と階層」「教育の綻び」について書いたものに書き下ろしを加えて、系統立ててまとめた本格的な教育論。学力の階層差は拡大したか、ゆとり教育は何をもたらしたか、学力低下の本質を探る、教師たちを追い詰める教育改革、フリーターに脱出口はあるか、教育の綻びを修正するための施策、など。
ご紹介した2冊にかんしてはKindleでお安く購入できます。
非常に興味深い分野なので、ぜひ書店でもちらっと見てみてくださいね。







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