なぜ少子化になるのか
なぜ、少子化になるのでしょうか。原因はなんでしょうか。若者の性欲不足?草食化?
そこで今回は、都市部の少子化問題の現状と問題について見ていきたいと思います。
結論から言うと少子化問題は東京全体で起こっているのではありません。少子化が特に進んでいるのは都市部です。大都市は子供を育てにくく、高学歴層に晩婚化が進んでいて、合計特殊出生率(女性一人あたりが一生に出産する数)を下げているからなのです。
高齢出産と合計特殊出生率
そこでまず、高齢出産と呼べる35歳以上の出産率を市区ごとに算出しました。
(引用)第7表 出生数、母の年齢(5歳階級)別、区市町村別
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kiban/chosa_tokei/jinkodotaitokei/kakuteisu.html
(引用)第7表 出生数、母の年齢(5歳階級)別、区市町村別
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kiban/chosa_tokei/jinkodotaitokei/kakuteisu.html
大都市圏であるほど、高齢出産が目立ちます。逆に言えば西に行けば行くほど、高齢出産率は減少しています。(別データで、10-20代の出産率を算出しましたが、今度は逆に西側がより高くなっていました。)最上位と最下位で二倍近くの差があるのは非常に面白い結果です。
このトップテンは、以前調べた私立中学校と国立中学校進学率の上位を占めていた市区町村と似ていたので、小学生の私立中学校進学率と比較してみました。
引用)平成26年東京都人口動態統計年報(確定数)のあらまし
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/10/DATA/60pak200.pdf
相関係数は+0.86と、非常に強く関係していますね。高齢出産率が高いほど、私立中学校に通わせるようです。
引用)平成26年東京都人口動態統計年報(確定数)のあらまし
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/10/DATA/60pak200.pdf
引用)平成27年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果について
相関係数は+0.86と、非常に強く関係していますね。高齢出産率が高いほど、私立中学校に通わせるようです。
解釈は多様にありますが、教育関心が高く、子供を私立中学校に入れるまでの教育費をある程度支払えるレベルまで働き続けてから、高齢で出産しているからではないか考えられます。
次に、直接の人口に関わる、合計特殊出生率(一人あたりが出産する数)について考察してみましょう。市区別にデータを出してみました。
引用)平成26年東京都人口動態統計年報(確定数)のあらまし
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/10/DATA/60pak200.pdf
例外はありますが、西に行くほど合計特殊出生率は高まり、東に行くほど減少します。都市化するほど、一人っ子が増え、一人当たりの出産数が減少します。
さきほどの高齢出産のデータと比較しましょう。高齢出産をすれば、第二子を産むのも難しくなるはずです。高齢出産率と、合計特殊出生率を比較するとこうなります。
引用)平成26年東京都人口動態統計年報(確定数)のあらまし
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/10/DATA/60pak200.pdf
引用)平成26年東京都人口動態統計年報(確定数)のあらまし
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/10/DATA/60pak200.pdf
引用)人口動態統計年報(確定数) 平成27年(暫定版)
第7表 出生数、母の年齢(5歳階級)別、区市町村別
新宿区、渋谷区、世田谷区、目黒区、文京区などが目立ちます。
さきほどの私立中学校進学率ほどは、強くないですが、それでも相関係数は-0.51と、中程度の負の相関が見られます。高齢出産率が多い地域ほど、合計特殊出生率(一人当たりが生む数)が減少しますね。とても当たり前なことですが。
ちなみに私立中学校進学率と合計特殊出生率を見てみるとこうなりました。
引用)平成26年東京都人口動態統計年報(確定数)のあらまし
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/10/DATA/60pak200.pdf
そういえば、以前待機児童問題については、古市さんの本のレビューをしました。下のレビューみて面白そうであればぜひアマゾンでほかの人の書評も見てみてください。
古市氏は「日本は少子化政策をしているのであれば、非常によくできている」と皮肉っていましたが、実際に東京都のデータを見る限りでも、同意せざるを得ません。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/10/DATA/60pak200.pdf
引用)平成27年度「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果について
相関係数は-0.47と少し関係が弱まりましたが、いずれにしても中程度の相関が確認できます。
都市部に住む人は、子供に高い学歴を獲得させるために教育費をためなければいけない。だから出産が遅れ、その結果高齢出産となり、一人当たりの出産数は減少する。そして、その限られた子供に教育投資をし、教育の再生産をしていくと考えることができます。
政府の統計資料をもとに、市区ごとの待機児童率を算出し、高齢出産率と比較してみました。
引用)東京都福祉保健局都内の保育サービスの状況について(2015)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/07/60p7n200.htm
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/07/60p7n200.htm
渋谷区、世田谷区、目黒区などが目立ちます。
待機児童0%のところが含まれているので、相関(+ 0.33)は弱いですが、高齢出産率が高い地域ほど、待機児童数が増えるのです。待機児童の問題は、都市部と東京の中央の地域に集中しているのです。
グラフ左下の市区は、合計特殊出生率が高い地域でしたね。(福生、あきる野市等)そこは多くの子供を産んでいますし、待機児童率も少ないです。
少子化問題は、都市部の高齢出産と社会的サポートの不足
つまり少子化問題で深刻なのは、都市部や郊外では高齢出産率が高い地域の人たちが、肉体的に子供を2人以上産めないのと同時に、社会的サポートがなく物理的にいざ一人目を産んでも養育できないということです。
高齢出産と待機児童で困るのは、都市部の人たちです。
高齢出産と待機児童で困るのは、都市部の人たちです。
さらにこれから都市部への移動が加速するのなら、少子化にさらに拍車がかかることも考えられます。都市化→高齢出産、待機児童率の増加→合計特殊出生率の低下→人口減少という悪循環に陥る前に、都市部で高齢出産をせざるを得ないような人たちの育児支援が早急に必要です。
そういえば、以前待機児童問題については、古市さんの本のレビューをしました。下のレビューみて面白そうであればぜひアマゾンでほかの人の書評も見てみてください。
古市氏は「日本は少子化政策をしているのであれば、非常によくできている」と皮肉っていましたが、実際に東京都のデータを見る限りでも、同意せざるを得ません。